被せ物の治療が終わり、綺麗な人工の歯が入ると、
「これでもうしばらく歯医者さんに行かなくていいや」
と思う方は多いのではないでしょうか。
では、お花や包丁はどうでしょう?
何もしなくてもずっと枯れない花はありますか?
ずっと切れ味鋭い包丁はありますか?
人工の歯も同じです。何もしなくてもずっと噛めるものではありません。
被せ物の治療は、むし歯が出来たり歯をケガしてしまったときに、
そのままでは食事やおしゃべり、見た目にさしつかえが出るため、
元の歯の機能と形を人工的に復元しようという治療です。
被せ物の治療というと、ふだん見えているところにばかり目が行きがちですが、
その耐久性を決めているのは、
歯ぐきの下に隠れている「患者さん自身の歯の根っこ」です。
細菌に感染した部分を除去し、かろうじて残った患者さんの歯を土台にして、
はじめて可能になる治療法。もちろん被せ物自体は一定の耐久性を備えていますが、
それを支える土台の歯は、ケアを怠るとむし歯や歯周病になってしまいます。
今日は、普段あまり注目されない土台の歯にスポットライトを当て、
被せ物の治療を長持ちさせるコツをお話しします。
被せ物もむし歯になる?
被せ物と土台の歯の継ぎ目は、もちろん少しの段差も出来ないように、
ピタリと合わせるのが歯科医師の腕です。
しかし、この継ぎ目のある場所は、ちょうど歯ぐきの溝の中に隠れる位置にあります。
歯ぐきの溝と言えば、プラーク(細菌の塊)が溜まりやすい場所の代表格。
油断をして、歯ぐきと被せ物の境目のあたりを丁寧に磨いていないと、
むし歯の温床となってしまいます。
なによりも困るのは、むし歯が進んでいても被せ物に隠れて広がるので、
外からは見えにくい点です。
さらに、神経を取って被せ物をした歯の場合、
むし歯になっても異常を知らせるセンサーである神経が無いため、痛みが出ません。
見た目にも分からず、痛みも感じないとなると、
患者さん自身が気付くことは非常に難しいことが分かると思います。
幸い発見できた場合も、たまたまほかの治療で歯科医院を受診した際に、
レントゲンを撮って偶然見つかるなどのケースが多いのが現実です。
nico 2020年1月号より抜粋
定期的にメインテナンスを受け、被せ物を長持ちさせましょう!
では、被せ物を長持ちするにはどうしたら良いのか?
早期発見のチャンスを逃さない為に、お口に被せ物があるかたは、
定期的に歯科のメインテナンスに通ってください。
プロのクリーニング、土台の歯の状態のチェックや歯磨き指導など
治療を長持ちさせるためのトータルケアが受けられます。
歯科のプロと一緒に土台の歯を大切に守り、被せ物の寿命を延ばしていきましょう!