認知症が進んだ方へのお口のケア、悩まれていませんか?
訪問歯科を利用していてもそれ以外の日はご家庭や施設でのケアになります。
少しでもご家庭や施設でのお口のケアがしやすくなるコツを今回はご紹介できれば幸いです。
認知症の方が感じていることとは
認知機能が低下すると、「歯を磨く」行為も何が起こっているのか理解できないものになってしまいます。
歯ブラシさえも「変な棒」と認識し、それを口に突っ込まれるのですから恐怖や不安で手を振りはらったりしてしまいます。
そのため、無理にしようとするのではなくご本人にとって分かりやすい方法からのアプローチが大切になります。
歯みがきまでの道のり
①まずは簡単なボディータッチから
お口は人の体の中でも急に触ると敏感な部分になります。
そのため、いきなりお口を触ろうとすると驚きから恐怖心に変わって歯磨きを嫌がってしまうのです。
まず、体に触る前ににっこり笑顔で話しかけ「この人、なんだか楽しい人」という印象をもってもらいましょう。
そして、マッサージすることを本人に伝えて、それほど敏感ではない肩から上腕、前腕、手という風に手のひら全体でしっかりゆっくり体温が伝わるように抑えていきましょう。小刻みにマッサージをしてしまうと逆効果になってしまうので、ゆっくりじっくりおこなうことがポイントです。
安心感をもってもらえるようになったら、徐々に顔、口へ移動していきます。
②お口周りへのアプローチ
お顔までたどり着けたら、手のひら全体で優しく頬を包み込んであげましょう。
この時に、手が難しければ「お顔を拭くと気持ちいですよ」と言いながら温かい蒸しタオルでやさしく拭いてあげるのも効果的です。
③お口へのアプローチ
お顔への接触も問題なさそうならいよいよお口へのアプローチへ移ります。
ただ、いきなりお口の中へ手を入れたり歯ブラシを入れたりするのではなく、まずはお口周りや唇から触っていきます。
そこもクリアできれば、「お口の中も綺麗にしましょう。少しお口を開けてみましょうか。」という風に優しく声を掛け、お口を開けてもらえるか試みましょう。
お口を開けてもらえたら、まずは唇を拭いたりすることから始めます。
お口が乾燥していれば、無理に触ると痛いかもしれないので口腔ジェルで柔らかくして触るのも良いでしょう。徐々に、口腔ケア用品に移りますが最初はスポンジブラシで始めてみても良いかもしれません。
水で湿らせた(余分な水分は切っておきます)スポンジブラシに口腔ジェルを少量つけて奥歯から前歯に向かって回転させるようにゆっくりすっと抜いて頬粘膜の汚れを取り除きます。この時に、片方の指を頬粘膜に入れておくことで(お口を拡張するような形)スポンジブラシがお口の中に当たる面積を減らしてあげることができます。
ただ、それを嫌がって抵抗されたり噛みつかれたりする場合もあるので少しでも難しいと思ったら無理にする必要はありません。
ご本人の我慢の限界を超えないようにし、頑張ったことに対して「ありがとう」や「綺麗になって気持ちがいいですね」という風にポジティブな言葉を掛けてあげましょう。
できることから少しずつ
できることから少しずつ慣れていくことで徐々に歯みがきの時間も嫌な時間ではなくなることがあります。
お口の中へ歯ブラシやスポンジブラシを入れる際は十分に気を付けて、少しでも危険を感じるようであれば訪問歯科の担当者に相談してみることをおすすめします。
また、お家でできないことを訪問歯科でカバーできることもあります。
皆さんで協力してお口の健康を守っていきましょう。