訪問歯科診療とは、歯医者さんへの通院が難しい患者さんのために、
歯科医師や歯科衛生士が自宅や施設を訪問して、検診や歯の治療を行うというものです。
一般的な通院と診療内容は同じですが、診療場所が患者さんの生活の場で行われる点や、
対象者が限られていて高齢者の方が多い点に違いが見られます。
さらに、通院困難な状態である方ほど、自分でのケアが難しい場合が多いため、
虫歯や入れ歯トラブル、口内炎、口腔内の痛みで困ることもあります。
訪問歯科診療のメリットは、こうした悩みを抱える患者さんが通院しなくても、
自宅や施設で歯科医師に治療をしてもらえる点です。
それだけでなく、歯科医師が実際の食生活を参考にしながら入れ歯の調整や作成をしたり、
介護の状況を把握してお口のケアを提案することができます。
通院ではわからない、患者さんの生活についての情報が得られるので、
訪問歯科診療ではそれを生かした治療提案が期待できます。
訪問歯科診療では、虫歯や歯周病の治療と予防をはじめ、入れ歯の作製や修理・調整、
お口のケアなど、一般的に歯科医院で行われるのと同様の診療が行われています。
そのほかにも口腔機能のリハビリや、食べ物や細菌、
胃液などが気管に入ることがきっかけで発症する「誤嚥性肺炎」の予防も行っています。
訪問歯科診療が保険適応となるのは、
歯医者さんの病院から診療場所までが、半径16km圏内にある場合となります。
16kmを超えて訪問歯科診療を依頼するのに
絶対的な理由がある場合は、この限りではありません。
在宅等で療養を行っており、
疾病、傷病のために通院による歯科診療が困難な方が対象になります。
なお、内科等の他科に通院している方は対象から除かれることがあります。
保険適用となるかどうかは、直接歯医者さんに尋ねてみることをおすすめします。
在宅歯科医療の3つの柱
1. | 歯科診療 |
2. | 口腔のケア |
3. | リハビリテーション |
この3つの柱は、疾病の内容、
疾病のステージや時間の経過とともにその比重が変化していきます。
多くの在宅歯科医療のなかでは、3つの柱が同時に必要となります。
口から食べることは、真の栄養になり、生きる喜びにつながります。
口から食べることによって
病気の回復も早くなることが最近の研究で明らかになっています。
在宅療養をしている患者さんの歯科の問題には、
義歯の不適合・むし歯に伴う歯の痛みや歯ぐきの腫れ・口内炎などがあげられます。
これらの多くは訪問歯科診療で対応することができます。
口腔内の不具合は食事の意欲の低下につながります。
さらには要介護高齢者における口腔清掃状態の悪化は、
誤嚥性肺炎の原因にもなりますので、定期的なチェックが必要になります。
また、噛むことや飲み込むことの障害がみられることがあり、
機能低下の早期の発見と対応が必要です。
そして終末期においても最後まで
口から食べるための歯科的対応は本人の生きる力を支援するものです。
これらの処置は保険診療上でも位置づけられています。
まとめ
病気やけがが原因で歯医者さんに通院できなくても、治療を諦める必要はありません。
お食事を楽しむためにも、お口の健康は大切です。
訪問歯科診療を依頼することで、
歯医者さんへ通院するのと同様の治療をご自宅で受けることができます。
歯や口腔内のトラブルを感じたら、
まずはかかりつけの歯医者さんに相談してみてください。