皆さん、激辛料理は好きですか?
私は適度な辛い料理は大好きですが、あまり辛いのは苦手です。
さらに、激辛料理を食べることを自慢してくる人も苦手です。
もちろん私もいい大人ですので、
「ほえー、すごいっすねー。」と合わせますが、
内心『自分を痛めつけるのが好きなんだー。』と思っています。
さて、なぜ激辛料理が自分を痛めつけることになるのでしょうか?
実は、辛味というのは味覚ではなく、痛覚なんです。
ということで、今日は辛味についてお話ししようと思います。
辛味という味覚は存在しない?
人間には味覚が5つ存在すると言われています。
「甘味・塩味・酸味・苦味・うま味」の5つです。
そうです。辛味は入っていません。
ちなみに実は、味覚って一つ一つに存在する意味があります。
では、それぞれの味覚について少しだけ詳しくお話ししていきましょう。
①「甘味」…みなさん御存知、幸せを感じさせてくれる甘味です。
生きるためのエネルギー源となる炭水化物を示す味のため、
本能的に好まれると考えられていて、赤ちゃんでさえ微笑む味です。
②「塩味」…お酒飲みには欠かせない塩味。
これも生きるために必要なミネラルを示す味のため、
本能的に好まれると考えられています。栄養補給を助け、食欲増進を高めます。
③「酸味」…梅干しやレモンを想像させる酸味。
本来、腐ったものや未熟なものを示す味と認識されますが、
食経験によって食欲増進をする好ましい味と考えられています。
ちなみに、すっぱい顔になるのは、唾液腺を刺激している顔です。
④「苦味」…お酒やコーヒーなど大人の味のイメージである苦味。
本来、毒を示す味ですので、甘味や塩味と比較して
1000倍以上感じやすいと言われています。
大人になると体が強くなり、毒にも強くなるので、
苦いものを好んで摂取するようになっていきます。
⑤「うま味」…日本人が発見したうま味。
体をつくるために必要なタンパク質(アミノ酸)を示す味として
本能的に好まれると考えられています。
うま味は長続きする味のため、減塩したい人はうま味を増やすとよいと言われています。
この意味を考えると、美味しいものは体に必要なもので
構成されているということになるかもしれません。
摂取し過ぎなければ、の話ですが。
辛味という痛覚
では、辛味とは何なのでしょう?
辛味は、痛みなどと同じような刺激として、痛覚や温度覚で感じ取る味
なので、基本的に味とは別のものとされています。
辛いものを食べて「口から火が出そう」などと表現しますが、
辛味を熱さや痛さで感じているためです。
痛覚とは本来、刺激から逃れ危険から身を守るための感覚ですので、
激辛料理が得意で自慢している人は、
「単に痛みに鈍感になっている」だけですので、
自慢どころか危険なことが分かりますね。
ただし、辛味が不要というわけではありません。
辛味には、発汗作用や食欲増進効果をはじめ、
衛生面の効果など様々あるといわれています。
辛いものを食べて体温が上昇し、汗をかいた経験は誰にでもあると思いますが、
これは辛味成分による刺激が、体内の活動を高めているのです。
また、辛味成分は、口や胃などの消化器の粘膜を刺激するので、
中枢神経の働きを高め、唾液や胃液の分泌が増え、食欲がわいてきます。
腸の運動も促進され、栄養が吸収されやすくなります。
トウガラシの辛味成分であるカプサイシンには、
体脂肪を燃焼する働きがあり、ダイエット効果もあります。
ワサビは、消臭や食中毒の病原菌に対する抗菌作用がありますが、
他にも、抗がん作用や抗酸化作用、抗ピロリ菌作用なども報告されているそうです。
みんな違ってみんな良い
味覚というのはとても繊細で、人によっては
美味しいものも不味く感じることが当然あります。
さらに、わさびなどの辛味や刺激物が苦手だと言うと
『子供っぽい』といわれたりすることがあると思いますが、
逆にそれだけ『敏感』ということなのです。
人によって、美味しいと感じるものもあれば、
苦手なものもある。そこに大人も子どももありません。
みんな違ってみんな良い。
辛いものが得意な人も苦手な人も、お互いを尊重して、楽しくご飯を食べたいですよね。
ただ、出来るだけ長く美味しいご飯を食べられるよう、自分の歯は大事にしましょう。